ヨガを極める⑥

人間の状態とヨガの有用性

ハタヨガの経典であるGheranda Samhitaで、聖者Gherandaは人間の状態について、妄想、エゴ、知識、そしてヨガについて説明しています

「妄想のような足かせはなく、ヨガのような強力な力はない。知識より偉大な友はなく、エゴより悪い敵はない。」

妄想は一時的なもので、偽りで、そして無知のシンボルです。私たちが無知ならば、妄想の状態にとどまり、喜びや楽しみを追いかけます。世俗的な喜びに夢中となり、自分自身と自己の存在の意味を忘れてしまいます。この世界で妄想ほど邪悪な足かせはありません。

現代社会は、妄想社会と言えるかもしれません。スマホの普及、そしてSNSの広がりにより様々な情報が与えられます。私たちの心は刺激され、日々様々な妄想を生み出します。妄想は真実ではありません。しかし現代の私たちはそれを真実として生活しているようです。本当の自分がよく分からなくなり、結果として、自分の人生を他人(SNS、スマホ)に明け渡してしまっているようです。

ヨガほど強力な力はありません。その力により、身体、心、知性、思考、感情、そして行動が制御され、平穏で調和的となります。身体、心、そして意識を統合的に開発するようなものはヨガ以外に他にありません。

現代の妄想社会においてヨガほど有効な手段はないでしょう。ヨガの訓練により、意識が内側へ向き、普段の自分の状態が分かります。どのくらい無用な情報の影響を受け、いかに無益な情報に混乱させられていたのかがわかります。ヨガの実践で気づきを得ることができます。そうすると様々な情報に惑わされることはなく自分軸で生きることができます。

この世界で知識より優れた友人はいません。ほとんどの困難な状況において、知識は実際に役立つ唯一の力です。知識は無知を追い払います。人生におけるあらゆる困難は、無知が故に存在します。

ヨガにおいて無知を滅することは最も大切なことのひとつです。そのためには知識、そして智慧の獲得が必要です。智慧の獲得で自然に無知がなくなります。無知がなくなれば妄想することもありません。そうすると自分の人生をしっかりと歩むことができます。

エゴはあらゆる欠点の根本的な原因です。エゴは人生において最も大きな敵となります。それは友愛への障害で、変化する環境に適応することができない時の学びのプロセスを抑圧します。エゴの仮面は心を開発する邪魔となり、間違ったプライドをもたらします。

ヨガにおいて最も大きな障害のひとつがエゴです。逆に言えば、エゴの少ない人がヨガを実践すると比較的短期間でヨガの真理にたどり着けるでしょう。私たちの人生における困難の原因はエゴが関係しています。ヨガの実践を通して、エゴの力が弱まると、人生がスムーズに進んでいきます。

妄想とエゴは罪であり敵で、一方ヨガと知識は自己のエネルギーで人生における友であると見なされます。

ヨガによる内部の強化

Gheranda Samhitaでは、身体におけるヨガの効果を次のように説明しています。

「身体は、水の中の焼かれていない土製のポットのように絶えず崩壊していきます。ヨガという火によって、身体を強くし、純粋にしなければなりません。」

身体は焼かれていない土製のポットのようなものです。焼かれていない土製のポットに水を入れると、それは溶け出します。しかし、もしそれが火で焼かれると強固となり、水をいれても溶けることなく保持できます。ヨガの訓練によって、身体はしっかり焼かれた陶器のように強くなります。

身体がヨガによって焼かれると、身体に生み出されたエネルギーが最初にそれを浄化し、そしてその能力を開発します。身体の浄化は綺麗で純粋な身体というだけでなく、内的な浄化の獲得を意味します。ヨガの訓練によって身体は強くなるだけでなく、浄化のプロセスを進みます。

純粋な身体の状態によって、心もまた純粋になります。ヨガでは、身体と心は異なったものだとは考えません。それらは非常に密接に関連しています。身体の不調は心の不調を生み出し、心の不調は身体の不調をもたらします。したがって、身体がヨガの訓練によって浄化されれば、心の純粋な状態が自動的に達成されます。身体と心を制御できるようになれば、身体と心の不調はなくなり、いかなる状況にも対応できる能力を得ることができます。

ヨガによる身体と心の健康

肉体的、心理的、そして感情の不調を軽減するための鍵は各々の個人にあります。気づき、調和、心の明晰さなどが、内的なバランスのための主要な要素です。

アーサナ、プラーナーヤーマ、リラクゼーション、集中、そして瞑想のようなヨガの技術は、システム全体を循環するエネルギーの流れに影響を及ぼすことによって、気づきや調和を獲得するのに役立ちます。

ヨガには様々な技術があります。それぞれのレベルに合わせた内容を実践していくことが大切です。まずはシャットカルマやアーサナにより身体を整えていきます。その後、プラーナーヤーマやリラクゼーションの技術を個々の状態に合わせて取り入れます。さらに上級レベルでは集中や瞑想の訓練を行います。身体と心の健康、心の調和には様々なヨガの技術を体系的に実践していくことが肝要です。

ヨガによって心を身体の健康を手に入れるためには、自分の状態に合った、自分のレベルに合った、適切なヨガの訓練を日々行うことが大切です。そのためにも、本物のヨガ、心を中心としたヨガを理解したヨガインストラクター、もしくはヨガ指導者を見つけ、あなたに合った最適な訓練を行いましょう。

身体全体はプラーナと心によって主に構成されています。プラーナは生活における肉体的な行動と動きに関係し、一方で心は考えや感情に関係しています。これらは人間のシステムにおける2つの大きな力です。もしそれらがバランスを崩すと、身体と心の働きにおいて不調和が生み出されます。ヨガの訓練を通して、この2つの異なった力を調和させていきます。結果として身体と心の健康を達成します。

ハタヨガとラージャヨガの訓練はこれら2つの力を基礎としています。アーサナやプラナーヤーマの訓練を通してプラーナの力を調整し、集中、リラクゼーション、そして瞑想の訓練を通して心を調整します。

外的なヨガの影響

肉体的な訓練は、身体だけでなくプラーナの領域にも影響を及ぼし、身体とプラーナの調和は心の領域に影響を与えます。外的なヨガの訓練の目的は、健康を提供し不調を取り除くだけでなく、身体のエネルギーと心のエネルギーを調和させます。ハタヨガは、身体の活動、身体の姿勢を作ることだけでなく、身体と心のエネルギーの調和として理解すべきです。ハタヨガは身体と心の力を調和させます。

身体を使うアーサナなど外的なヨガは身体だけでなくプラーナにも影響を及ぼすことができます。なぜなら身体とプラーナはつながっているからです。外的なヨガの訓練により、身体、プラーナ、そして心へとアプローチしていきます。

アーサナの訓練を行うときには、2つの種類、動的と静的なものがあります。動的なアーサナは身体や関節をゆるめ、筋肉系と神経系におけるストレスや緊張を取り除きます。静的なアーサナは、意識を内側へ向ける助けとなります。身体の活動が内側へ向けれら、静められ、そして静穏が達成されます。

動的なアーサナは、例えばスーリャナマスカーラのように動きと呼吸を合わせて動き続けます。一方、静的なアーサナはある姿勢を一定時間保持していきます。ヨガのクラスではレベルに合わせて、動的および静的なアーサナを組み合わせて行います。