ヨガを極める64

ヨガと左右の脳

ヨガにおける脳半球の調和

脳半球を調和させるために、ハタヨガにはどのような役割があるでしょうか。

人間の精神生理学的な枠組みの2重の性質は、脳と中枢神経の身体の構造に反映されています。神経生理学と心理学の研究は、2つの脳半球が、実際に異なった能力と個人の表現の特徴的な様式の原因であることを明らかにしています。

右半球は、イダーナディーの機能である、認知の空間的、芸術的、全体的、直感的、そして精神的な面に責任を持ちます。左半球は、ピンガラーナディーの機能である、論理的、合理的、そして分析的な能力と思考の連続的、そして直線的な様式に責任を持ちます。

脳の左側は、両半球が聞く、読む、話す、そして書くという様々な面の中心を含みますが、言葉によるコミュニケーションの重要な中心を持ちます。標準的な教育は、主に言葉のコミュニケーションを通して行われます。したがって、左側は優勢な半球として言及されます。

左側は、競争、利己的、そして攻撃性の男性的な性質を持ちます。一方、右側は、愛、共感、そして養育の女性的な性質を授けます。イダーとピンガラーナディーを調和させることによって、男性と女性の性質が調和されます。

スワラヨガ(Swara yoga)の考えでは、脳の右側は、左鼻孔が流れているときに、左側は、右鼻孔が流れているときに活動します。そして、両鼻孔が等しく流れているときは、いつでも脳のすべての能力が最高に、そして統合された状態で働いています。

鼻孔の流れのサイクルにおける交互のリズムは、神経系のために必要です。それは、交感神経と副交感神経をリズミカルに機能させ、身体のすべての他の器官の働きとリズムに影響し、本来備わっているバランスを維持します。

脳のリズムが阻害されるとき、その影響は、身体のすべてのシステムに広がります。心配、不安、もしくは恐怖にあふれる心では、脳の回路が混乱に陥ります。プラーナーヤーマの訓練は、イダーとピンガラーナディーにおけるバランスを回復し、脳を調整します。

研究は、鼻粘膜の神経繊維が中枢神経においてよりも20倍多いということを示しました。息を吸う間、鼻孔での空気の流れは、呼吸、循環、消化などの自動的なプロセスに影響する自律神経を刺激します。

実際、ある研究によって、鼻粘膜の領域全体が自律神経系の独特な器官として説明されています。これは、それが様々な身体と心の状態に反応することを意味します。

この点で、プラーナーヤーマの訓練の広範囲にわたる効果が理解されます。それは、イダーとピンガラーの調和を目的とし、したがって、その訓練は自律神経系全体に影響します。結果として、それは身体と心の複合体全体に調和と均衡をもたらします。

一般的な人にとって、脳の機能が調和するのは、左右の呼吸の優位性が逆になる、一時間半のサイクルのほんの数分間だけです。しかし、ヨガの訓練を適切に行うことで、両鼻孔でのバランスを誘発し、スシュムナーが流れる時間を長くすることができます。この方法で、瞑想的な意識が数時間、もしくは一日中、経験されるかもしれません。

 

ナディーショダナと脳

ナディーショダナは、なぜ脳を調和させるのでしょうか。

ナディーショダナで使われる交互の鼻孔での呼吸は、右脳と左脳を交互に刺激することで、脳半球に影響を及ぼします。おのおのの鼻孔での呼吸の流れは、脳の逆側を刺激します。

身体の右と左側は、脳の逆の側から発する神経によって制御されています。呼吸の流れによる鼻孔の刺激は、鼻孔の逆側の脳における神経活動を増強します。

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