ヨガを極める53

ヨガと心

ハタヨガへの理解は、ヨガの治療的な効果とともに高まっています。これは、特にヨガのリラクゼーションとストレス解消効果に関係しています。しかし、ハタヨガの心との根本的で深い相互作用における理解において、大きなギャップが残っています。

この相違は、ハタヨガは身体のヨガだという認識で始まります。それは世界的にフィットネス産業の特徴となっている、無数のヨガブランドによって生み出された間違った考えです。皮肉にも、ハタヨガの伝統的な目的である調和した、集中した心は忘れられています。

おそらくハタヨガは、予期しないところから心の管理の問題へとアプローチするので、誤解が生まれています。現代心理学が、心の混乱に対して、心を基礎とした解決を行う傾向にあるのに対して、ハタヨガは、より簡単な方法を提示します。それは、身体とプラニックボディを浄化し調和することです。そうすると、心は必ず従うでしょう。

<Point1>
現代、ハタヨガは大きく誤解されているようです。それは身体のヨガだと思われています。ハタヨガでは、身体から始めますが、それで終わりではありません。シャットカルマやアーサナにより身体が調和すれば、次にプラニックボディを調和しようとします。

そして、ハタヨガにおいても、最終的には心へアプローチします。ハタヨガは、身体のヨガと考えられていますが、心を軽視しているわけではありません。

エネルギーとしての心

ハタヨガにおける解決策の出発点は、心の性質を理解することにあります。エネルギーとしての心の概念は、ハタヨガの理論の基礎です。心はエネルギーで、それは怒り、情熱、貪欲のような感情ではありません。心とプラーナのエネルギーは、イダーとピンガラーと呼ばれ、ハタヨガの主題です。

ハタヨガの目的は、イダーナディーに流れる心のエネルギーと、ピンガラーナディーに流れるダイナミックなエネルギーの結合をもたらすことです。

この結合は、完全な内的調和と均衡を生み出します。それは、シャットカルマ、アーサナ、プラーナーヤーマ、ムドラー、そしてバンダを含む、ハタヨガの継続的な訓練によって達成されます。

<Point1>
ハタヨガで最も重視するのは、心とプラーナという2つの異なったエネルギーを調和させることです。言い換えると、それはイダーとピンガラーナディーの調和です。そのために、シャットカルマ、アーサナ、そしてプラーナーヤーマと言った様々な技術を、個人のレベルに合わせて実践していきます。

 

イダーとピンガラーは、すべての個人で、持って生まれた性質や人生における相互作用によって、異なる強さで流れます。これらの流れが乱れると、それらのエネルギーが二重性として経験されます。

どのように、この二重性が経験され、表現されるのでしょうか。起伏、浮き沈み、混乱、緊張、葛藤、虚しさ、憂鬱、心配、恐怖、野心、興奮、利己的行動、不安などです。

これらは、誰もが時々直面する障害です。そのため、心理カウンセリングが、しばしば求められます。心の健康産業の出現にも関わらず、多くの問題は無くなっていません。

逆に、憂鬱や心配のような状態は増え、ストレスに関連する病気は、現代のライフスタイルでは避けられないものと認められ、心の健康は、危険状態にあります。

表面上は快適に暮らす人々が、不安発作、不眠症、頭痛、恐怖症、そして多くの内的混乱の症状を経験し、内的に絶望の淵にあることは珍しくありません。

<Point2>
現代社会では、鬱など心に関する障害が大きな問題になっています。しかし、心理学など現代科学では、それらを解決する方法が見つかっていないようです。ヨガは、ヨガセラピーといった形で、そのための1つの方法を提示しています。

ヨガにおける身体

伝統的なハタヨガは、主に心とプラーナに関係しています。これは、ハタヨガを完全に身体と関連付ける一般的な考えとは逆です。

それでは、身体の役割は何でしょう。身体は媒体です。人生を通した精神の旅のための乗り物である身体は、ハタヨガがプラーナにアクセスする場です。

Swami Niranjananandaによると、身体のポーズが訓練されるとき、身体だけでなく、心、感情、そして精神が働いています。ポーズを行うことで、身体で経験する調和、健康、そして活力は心の面に影響を及ぼします。

このように、最も基本的な身体の訓練でさえ、内的な調和を達成する助けとなります。このプロセスは、身体のポーズが集中、リラクゼーション、そして瞑想の技術と組み合わされるとき、より強力になります。この過程で、身体、心、そして精神の結合、調和、そして統合が経験されます。

<Point1>
多くの人は、身体の健康のためにヨガを行っているようです。しかし、ヨガにおいて身体は、目的ではなく、手段、もしくは媒体です。ヨガでは、身体を利用して、目的を達成します。

実は、身体を目的としてヨガを行うよりも、より高い目的を持ち身体を利用する方が、より健康になれます。これがヨガの秘密です。

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