ヨガと人間の状態
ハタヨガの経典であるGheranda Samhitaで、聖者Gherandaは人間の状態について、妄想、エゴ、知識、そしてヨガについて説明しています。
「妄想のような足かせはなく、ヨガのような強力な力はない。知識より偉大な友はなく、エゴより悪い敵はない。」
妄想は一時的なもので、偽りで、そして無知のシンボルです。私たちが無知ならば、妄想の状態にとどまり、喜びや楽しみを追いかけます。世俗的な喜びに夢中となり、自分自身と自己の存在の意味を忘れてしまいます。この世界で妄想ほど邪悪な足かせはありません。
<Point1>
”現代社会は、妄想社会と言えるかもしれません。スマホの普及、そして、SNSの広がりにより様々な情報が与えられています。私たちの心は刺激され、日々様々な妄想を生み出します。妄想は真実ではありません。しかし、現代の私たちは、それを真実として生活しているようです。結果として、本当の自分がよく分からなくなっています。自分の人生を他人(SNS、スマホ)に明け渡してしまっているようです。”
ヨガほど強力な力はありません。その力により、身体、心、知性、思考、感情、そして行動が制御され、平穏で調和的となります。身体、心、そして意識を統合的に開発するようなものは、ヨガ以外に他にありません。
<Point2>
”現代の妄想社会において、ヨガほど有効な手段はないでしょう。ヨガの訓練により、意識が内側へ向き、普段の自分の状態が分かるようになります。どのくらい無用な情報の影響を受け、いかに無益な情報に混乱させられていたのかがわかります。ヨガの実践で気づきを得ることができます。そうすると、様々な情報に惑わされることはなく、自分軸で生きることができるようになります。”
この世界で知識より優れた友人はいません。ほとんどの困難な状況において、知識は実際に役立つ唯一の力です。知識は無知を追い払います。人生におけるあらゆる困難は、無知が故に存在します。
<Point3>
”ヨガにおいて無知を滅することは、最も大切なことのひとつです。そのためには知識、そして智慧の獲得が必要です。智慧の獲得で自然に無知がなくなります。無知がなくなれば、妄想することもありません。そうすると自分の人生をしっかりと歩むことができます。苦しみの人生が楽しみの人生に、苦から楽へと自然に変わります。”
エゴは、あらゆる欠点の根本的な原因です。エゴは、人生において最も大きな敵となります。それは、友愛への障害で、そして、変化する環境に適応することができない時の学びのプロセスを抑圧します。エゴの仮面は、心を開発する邪魔となり、間違ったプライドをもたらします。
<Point4>
”ヨガにおける最も大きな障害のひとつが、エゴです。したがって、エゴの強い人は、ヨガの道において大きな障害を抱え、ヨガにおける進歩が難しいでしょう。逆に言えば、エゴの少ない人が、ヨガを実践すると比較的短期間でヨガの真理にたどり着けるでしょう。
”エゴはヨガの道だけでなく、私たちの人生においても大きな障害となります。私たちの人生における困難の原因は、エゴが関係しています。多くの人は人間関係において、悩み苦しむかもしれません。そのほとんどの原因は、自分というエゴが故ではありませんか。何か問題が起こった時、私たちは他人が悪いと考えてしまいがちです。それはなぜでしょうか?答えはエゴです。
”道を歩いていて、お互いが譲り合わなければ衝突してしまいます。エゴが無ければ、すくなくともそれが強くなければ、人と衝突することもありません。エゴがゆえにトラブルになります。結果として、ヨガの実践を通して、エゴの力が弱まると、人生がスムーズに進んでいきます。”
妄想とエゴは、罪であり敵です。一方、ヨガと知識は、自己のエネルギーで人生における友であると見なされます。
<Point5>
”誰もが日々、様々な妄想をしています。それは当たり前のことで、それ自体に害はありません。しかし、その妄想が単なる妄想のままでなく、自分にとっての真実になってしまうと大きな問題となります。そして、ヨガでは、自分が妄想していると気づくことが大切だと考えます。誰もが妄想しますが、それに気ついているかどうかで、それぞれの人の人生に、大きな違いが生まれます。”
ヨガによる内部の強化
Gheranda Samhitaでは、身体におけるヨガの効果を次のように説明しています。
「身体は、水の中の焼かれていない土製のポットのように絶えず崩壊していきます。ヨガという火によって、身体を強くし、純粋にしなければなりません。」
身体は、焼かれていない土製のポットのようなものです。焼かれていない土製のポットに水を入れると、それは溶け出します。しかし、もしそれが、火で焼かれると強固となり、水をいれても溶けることなく保持できます。ヨガの訓練によって、身体はしっかり焼かれた陶器のように強くなります。
身体が、ヨガによって焼かれると、身体に生み出されたエネルギーが最初にそれを浄化し、そして、その能力を開発します。身体の浄化は綺麗で純粋な身体というだけでなく、内的な浄化の獲得を意味します。ヨガの訓練によって身体は強くなるだけでなく、浄化のプロセスを進みます。
<Point1>
”ヨガの訓練を通して、身体は強くなります。そして、身体には十分なエネルギーが蓄えられます。そうすると、そのエネルギーにより、身体は浄化されていき、ますます強くなります。結果として、身体全体として調和していきます。このようにヨガの訓練を継続して続けることで、よい循環が生まれます。ヨガの訓練の初期段階では、この浄化のプロセスを進んでいくことが大切です。”
純粋な身体の状態によって、心もまた純粋になります。ヨガでは、身体と心は異なったものだとは考えません。それらは非常に密接に関連しています。身体の不調は心の不調を生み出し、心の不調は身体の不調をもたらします。したがって、身体がヨガの訓練によって浄化されれば、心の純粋な状態が自動的に達成されます。身体と心を制御できるようになれば、身体と心の不調はなくなり、いかなる状況にも対応できる能力を得ることができます。
<Point2>
”ヨガの実践の初期段階では、アーサナなどにより身体を浄化し、強く柔軟にしていきます。そうすると、身体の浄化により、心も整っていきます。ヨガにおける非常に重要な考えは、身体と心は密接に関係しているという点です。”
”一般的にも、「病は気(心)から」という言葉が使われるように、私たちも身体と心の関係性については、様々な経験からなんとなくは理解しています。ヨガではさらに、身体と心だけでなく、プラーナを含めて、3つの関係性を重視しています。”
ヨガによる身体と心の健康
肉体的、心理的、そして感情の不調を軽減するための鍵は、各々の個人にあります。気づき、調和、心の明晰さなどが、内的なバランスのための主要な要素です。
アーサナ、プラーナーヤーマ、リラクゼーション、集中、そして瞑想のようなヨガの技術は、システム全体を循環するエネルギーの流れに影響を及ぼすことによって、気づきや調和を獲得するのに役立ちます。
ヨガには様々な技術があります。それぞれのレベルに合わせた内容を実践していくことが大切です。まずはシャットカルマやアーサナにより身体を整えていきます。その後、プラーナーヤーマやリラクゼーションの技術を個々の状態に合わせて取り入れます。さらに上級レベルでは集中や瞑想の訓練を行います。身体と心の健康、心の調和には様々なヨガの技術を体系的に実践していくことが肝要です。
<Point1>
”今までにも述べられているように、ヨガの効果を最大限に発揮するためには、決められたプロセスに沿って、そして、ひとつひとつの技術を正しく実践することが大切です。そうすることで、身体と心の健康に素晴らしい効果を得ることができます。”
”さらに、ヨガによって、心と身体の健康を手に入れるためには、自分の状態に合った、自分のレベルに合った、適切なヨガの訓練を日々行うことが大切です。そのためにも、本物のヨガ、心を中心としたヨガを理解したヨガインストラクター、もしくはヨガ指導者を見つけ、あなたに合った最適な訓練を行いましょう。”
身体全体は、プラーナと心によって主に構成されています。プラーナは生活における肉体的な行動と動きに関係し、一方で心は考えや感情に関係しています。これらは人間のシステムにおける2つの大きな力です。もし、それらがバランスを崩すと、身体と心の働きにおいて不調和が生み出されます。ヨガの訓練を通して、この2つの異なった力を調和させていきます。結果として、身体と心の健康を達成します。
ハタヨガとラージャヨガの訓練はこれら2つの力を基礎としています。アーサナやプラナーヤーマの訓練を通して、プラーナの力を調整し、集中、リラクゼーション、そして瞑想の訓練を通して、心を調整します。
<Point2>
”身体と心の健康のためには、プラーナと心を調和させる必要があります。そのために、ヨガでは、アーサナ、プラーナーヤーマ、さらに瞑想といった様々な技術が用いられます。そして、それらの技術は、その人のレベルに合わせて、適切に実践される必要があります。”
外的なヨガの影響
肉体的な訓練は、身体だけでなくプラーナの領域にも影響を及ぼし、身体とプラーナの調和は、心の領域に影響を与えます。外的なヨガの訓練の目的は、健康を提供し、不調を取り除くだけでなく、身体のエネルギーと心のエネルギーを調和させます。ハタヨガは、身体の活動、身体の姿勢を作ることだけでなく、身体と心のエネルギーの調和として理解すべきです。ハタヨガは身体と心の力を調和させます。
<Point1>
”身体を使うアーサナなど、外的なヨガは身体だけでなく、プラーナにも影響を及ぼすことができます。なぜなら身体とプラーナはつながっているからです。身体からアプローチすることによって、より微細なプラーナへアプローチしていきます。外的なヨガの訓練により、身体、プラーナ、そして、心へも影響を及ぼすことができます。”
アーサナの訓練を行うときには、2つの種類、動的と静的なものがあります。動的なアーサナは身体や関節をゆるめ、筋肉系と神経系におけるストレスや緊張を取り除きます。静的なアーサナは、意識を内側へ向ける助けとなります。身体の活動が内側へ向けれら、静められ、そして静穏が達成されます。
動的なアーサナは、例えばスーリャナマスカーラのように動きと呼吸を合わせて動き続けます。一方、静的なアーサナはある姿勢を一定時間保持していきます。ヨガのクラスではレベルに合わせて、動的および静的なアーサナを組み合わせて行います。
<Point2>
”アーサナには大きく分けて2つのタイプがあります。1つは動的なもの、そして、もう1つは静的なものです。一般的に、静的なアーサナの方が、動的なものよりも難易度が上がります。したがって、ヨガアーサナの初期段階では、動的なアーサナを中心にクラスが行われます。”
”さらに、動的なアーサナでも、その利用法によっては上級レベルの訓練にもなります。アーサナという1つの技術の中でも、様々な考え方があります。ヨガインストラクターとしては、1つ1つのアーサナの正しい理解とともに、その利用法についても熟達する必要があります。”
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